爆風の平標山

上越線

 登山を始めたころ、毎週欠かさず見ていた番組。

NHKの百名山。

なんて美しい山が沢山あるんだ。

私もいつか行きたいと、

食い入るように画面を見つめていた。

そんな中でぜひ行きたいと思った山が、平標山だ。

山頂から仙ノ倉山へ続く道の両脇に広がる、

ハクサンイチゲの花畑。

そんな天国みたいな場所があるなんて。

 しかし、登山をすればするほど

自分の体力不足を思い知らされる。

テレビの中の人がサクサク登っている山は、

私には無理なロングコースが多く、

現実との差にガッカリし

いつしか番組を見なくなってしまった。

 去年特急あずさの車内で知り合ったご婦人が、

毎年平標山にハクサンイチゲを見に行くと言っていた。

その時は私には無理と諦めていたが、

あれから一年、やっと7時間くらい歩けるようになり、

平標山も視野に入ってきた。

年を取ると、今年できることが来年もできるとは限らない。

今、行くしかないでしょ。

ハクサンイチゲはどうやら平標山の9合目付近にも咲いているらしく、

仙ノ倉山へ行かれなくても見ることが出来そう。

天気も良さそうなので、3日前に新幹線を予約。

その後天気を確認することなく出発した。

 花の時期の平標山は混雑するので、

バスで座れるように越後湯沢駅に1時間前に到着。

身支度を済ませてバス停へ。

3番目に並べたので、本を読んでバスが来るまで時間つぶし。

2番目のお姉さんは、ゴープロでメロンパンをかじる自分の姿を撮影している。

私は自分を撮影しなくなったな。

出演は声と水を触る手だけ。

なんだか曇り空が気になるが、これから晴れるのかな。

バスは増発され、2台体制。

が、1台目に全員乗れてしまった。

あれ、日曜なのになぜ?

いやな予感がするなあ。

 登山口から松手山までは樹林帯を進む。

風も少ないので汗が噴き出す。

新潟の山は、1合目ごとに看板があることが多い。

これ、私は苦手。

まだ3合目なのかとがっかりするのだ。

松手山山頂からは樹林帯を抜ける。

見晴らしがいいので、座っておにぎりを食べ

山頂の方を見ると

ガスがすごい勢いで上がってきた。

風が急に強くなり、歩くのが辛いくらい。

これは、やばいな。

8合目付近であたりは真っ白。

強風で何度も体が持って行かれそうになる。

命の危険を感じるくらいだ。

北アルプスか、ここは。

でも9合目に待っているハクサンイチゲがどうしても見たい。

頑張って登っていると、

強風に揺れるハクサンイチゲが登場。

咲いたばかりでフレッシュ。

爆風の中、花はしっかり持ちこたえている。

すごいなあ、高山植物って。

ここではこんな風、日常なんだろうなあ。

ハクサンイチゲの応援を受けて、

なんとか山頂へ。

山頂ではみんな熊笹の陰で風を避け

カップラーメンを食べたりしている。

仙ノ倉山への階段を覗き込んだが、

遮るものがない。

爆風の中、とても歩けないと判断。

今日はここで引き返しましょう。

命が大事。

また来年登りましょう。

 下山途中にツアーの団体が登ってきた。

ツアーだと天候が少々悪くても、

キャンセルできないんだろうなあ。

一人遅れて登るおじさん。

自分のペースで登れないと辛いよね。

私はやっぱり一人で登るのが好き。

天気予報を当日確認しないなど

まだまだミスが多いけど

これも経験。

標高を下げたら弱まる風。

苗場山をバックに写真を撮る若者たち。

いつか、苗場山にも登りたい。

また、NHKの百名山。

見てみようかな。

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