燧ケ岳

東武線

 初めて尾瀬ヶ原を歩いた日。

真正面に見える燧ケ岳に心を奪われた。

なんて格好がいい山なんだろう。

筋肉質な凛々しい山という感じ。

登ってみたいがコースタイム7時間は、私には無理だった。

 尾瀬ヶ原をはさんで群馬側にある至仏山。

こちらは鳩待峠からのピストンなら、コースタイム4時間。

至仏山に登る途中、尾瀬ヶ原の向こうに燧ケ岳が見えると

ついつい足を止めて見入ってしまう。

尾瀬沼を歩いたときなんか、ずっと燧ケ岳が見えていて

幸せなハイキングだった。

尾瀬沼と燧ケ岳

 登山を初めて3年。

少しも上達しないのであきらめていたが、

凝りもせず毎週山に登り続けた。

そのせいか、今年の夏

どうやらやっとステップアップできたようだ。

このチャンスを逃してはいけない。

あこがれの燧ケ岳にチャレンジしてみよう。

もちろん無理なら熊沢田代で引き返せばいい。

 東武鉄道の尾瀬夜行に乗って早朝5時半、御池に到着。

以前この周辺を雨の中ハイキングしたことがある。

その時に燧ケ岳の登山口から15分ほど歩いてみた。

雨が降っていたので登山道は川のようになっていて、

水気の多い山という印象があった。

今回は晴天続きだったのに、やはり登山道はぬかるんでいる。

そして最初から大きな石のステップが続く急登。

苔のついた岩を手でつかみながら、ぐいぐい登っていく。

夜行にも慣れてよく眠れたためか、体が軽い。

あっという間に一つ目の湿原、広沢田代に到着した。

広沢田代

木道は荒れていて歩きにくかったが、地塘に映る雲にうっとり。

そして広い。

前を行くカップルは、昨日会津駒ケ岳に登ったようだ。

前日にロングコースの山を登って、次の日燧ケ岳に登れるとは。

すごいなあ。

私には会津駒ケ岳はまだ無理だな。

 2か所目の湿原、熊沢田代までも似たようなコース。

急だが岩がしっかりしているので登りやすい。

熊沢田代からは燧ケ岳が見えた。

燧ケ岳が私を呼んでいる。

熊沢田代にはベンチがあり、

みんな、あんぱんやおにぎりを食べてエネルギー補給している。

私もおにぎりを食べ、いざ山頂へ。

だってまだ朝の8時。

引き返す時間ではないよね。

 しかし、ここからがきつかった。

浮石だらけのガレ場が続く。

足場が悪いとこんなに歩きにくいんだな。

(ここは下山の方が難易度が高かった。

一歩一歩踏みしめて慎重に降りないといけないので、

すごく時間がかかる。

このまま永遠に降りられないかと思った。)

 その後は笹をかき分けて進み、何とか爼嵓(マナイタグラ)に到着。

そこからは尾瀬沼が一望できた。

爼嵓からみた尾瀬沼

すごくいい天気なので、すべてが見える。

沼の周りを歩いた日に見た燧ケ岳に、私、登ったんだな。

そして右側に顔を向けると、尾瀬ヶ原も見えた。

いい天気。

初めて登った日に、この絶景が見られるなんて。

そして、さらに右側に待ち構えているのは、

本当の山頂、柴安嵓だ。

尾瀬ヶ原と柴安嵓

結構な登り返しだ。

ラスボス登場だが、HPの残りが少ない。

ここで引き返すのが無難だ。

無理をして怪我をしたら元も子もない。

でも、こんないい天気に恵まれるのは二度とないかもしれない。

柴安嵓に登れば、

尾瀬ヶ原とその向こうの至仏山を真正面から見ることが出来る。

柴安嵓までのコースタイムは20分。

ここは、行くしかないでしょ。

 しかし、ラスボスとの戦いは危なかった。

大きな段差を登ろうとしたら、足の裏がつった。

やばいと思って踏みしめたら、すぐ治ったので良かった。

足の裏がつったのなんて初めてで驚いた。

その後、道を間違えて大きな岩の裏側に回り込んでしまい、

あせって戻ろうとしたら足をぐねってしまった。

やばい、ひねった!

と思ったが、全く痛みはない。

大丈夫だったようだ。

危ない、危ない。

たった20分、されど20分。

無理は禁物。

 そんなこんなで何とか柴安嵓に到着。

柴安嵓にある燧ケ岳山頂標識

あこがれの山頂標識にタッチ。

私、燧ケ岳に登頂しました!!

そして、尾瀬ヶ原と至仏山。

尾瀬ヶ原と至仏山

なんていい景色。

これが見たかった。

今日登って良かった。

いつも登る至仏山の稜線がくっきり見える。

登ったことのある山は違って見えるって、誰かが言っていたけど

本当だね。

来年も至仏山に登ろう。

そしてそこから、燧ケ岳を見るんだ。

今までと違って見える燧ケ岳に早く会いたい。

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