数年前に西沢渓谷を歩いた時、
ここから徳ちゃん新道で
甲武信ヶ岳に登れることを知った。
調べてみると、
徳ちゃん新道は非常に長くて辛いらしい。
無理と諦めた。
去年甲斐駒ヶ岳に登った時、
知り合った女性から
毛木平から登るといいと教えてもらった。
が、毛木平へは路線バスが出ていない。
無理と諦めていたら
毎日アルペン号を発見。
今回申し込んでみた。
今年はシルバーウイークが5連休。
そのためかシルバーウイーク明けの土曜夜、
毎日アルペン号はすいていた。
そして甲武信へ行くのは私一人だけ。
途中の小淵沢道の駅で
私だけマイクロバスに乗り換える。
すみませんねえ、
バス貸切ではないですか。
なるほど、
帰りのバスがないのは
利用者が少ないからなのね。
しかたがないので、
今回は路線バスのある
山梨県へ下山する計画。
日の出前の毛木平登山口で下車。
駐車場には数台の車しかない。
うす暗い中、身支度を整えていたら
日が昇ってきた。
渓流釣りの男性二人の後を
追いかけるように歩く。
そこには苔と川の森が広がっていた。
緩やかに登りながら、
苔むした川沿いの道を進む。
これが奥秩父の山なんだ。
素敵。
さすが長野県。
甲武信ヶ岳は名前の通り、
甲州武州信州にまたがる山。
そして武州である我が埼玉県は、
なんとその山頂をしめていた。
日本百名山甲武信ヶ岳と書かれたの山頂標識は、
雲取山で見たのと同じだ。
やるなあ、埼玉県。
しかしこの山は
埼玉県から登るのは難しい。
秩父の山奥にはもちろん路線バスはないし、
自家用車を使っても
登山道が長すぎる。
でもこの山頂稜線は埼玉県なんだ。
埼玉県民の私は
もちろん埼玉県最高峰である
三宝山にも足を延ばした。
展望はないが、今自分が
埼玉県の一番高い所に立っていると思うと
感慨深い。
その後
住所が秩父市である甲武信小屋に立ち寄ってから、
徳ちゃん新道で山梨へ下山開始。
キツイと聞いてはいたが
長いガレ場には辟易した。
ようやくガレ場を抜けたところで、
登ってきたお姉さんに声をかけられる。
黒いきんちゃく袋
落ちていませんでした?
きんちゃく袋?
それも黒。
無理だよ。
あのガレ場を下りるのに、
足元の石以外の物を見る
余裕なんてなかった。
気が付かなかったと告げると、
お姉さんはガレ場を登り始めた。
まじか。
きんちゃく袋を探して
これを登り返すのか。
よほど大事なものが入っているのか。
車のカギか、財布か
はたまたその両方か。
怖くて聞けなかった。
気を付けてねとだけ
声をかけた。
山で落とし物を探すのは、
なんて困難なことだろう。
でも私には
協力できる体力はなかった。
大事なものは
ザックやコサッシュにくくりつけておかないと
大変なことになるんだな。
お姉さん、無事にきんちゃく袋は見つかりましたか?


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