紅葉の芝倉沢

上越線

 明治時代、新潟の米を東京に運ぶために

新潟から群馬へ抜ける道を作った。

新潟と群馬の間には

急峻な山がそびえている。

そして言わずと知れた豪雪地帯だ。

そのことを知ってか知らずか

無謀な計画は進み、

馬車が通れる道を

新潟清水から群馬土合へ作った。

開通したのは9月。

その翌月には大雨で土砂崩れが起き

道は何か所も崩壊。

その後降り出した雪で

更に崩壊は進む。

何度も修理したようだが

崩壊を食い止めることはできず、

道はたった1か月使われただけで

終わってしまった。

それが国道291号の点線部分である。

 幸い群馬側はその道を

登山道として歩くことが出来る。

さらに景色のいい導入部は

舗装道路にして

電気バスを走らせている。

私は何度もその道を歩き、

一ノ倉の絶景を堪能してきた。

 今回いつも折り返すブナのしずくで、

向こうから歩いてきたカップルと出会った。

この先も道はぬかるんでますか?

と聞いたところ、

ここ程酷くないですよ。

先の紅葉がきれいでした。

とのこと。

では、行かれるところまで

進んでみようと決意。

標高が少し上がるので、

周りの木々の紅葉は終盤。

ところが向かいの山肌が、

燃えるように赤く染まっている。

これは素晴らしい。

そして道は細くなり、

土砂崩れ以降放置している

ポイントに到着。

まあ、登山道と思えば

何のことはない。

ロープも設置されているし。

それを超えると

芝倉沢がデーンと登場。

何しろ水の量が半端ない。

沢の部分だけ舗装してある道の上を、

ゴーゴーと水が流れている。

まるで川。

とても登山靴で渡るのは無理。

これが夏場なら

靴が濡れても構わないのだが、

今日は11月。

雨に濡れて体は冷えている。

その上、足まで濡れたら

凍えてしまう。

 ということで

今回はここで引き返すことにした。

清水峠まで歩きたかったなあ。

でもそこから

どうやって帰ったらいいのだろうか。

避難小屋に泊まるのは嫌だな。

清水集落に宿泊施設はあるのだろうか。

夏までに

もっと計画を煮詰める必要がある。

そして渡渉するのに必要な

靴を準備しないと。

夏ならサンダルがいいかも。

長靴では荷物になるし。

 そんなことを考えながら歩いていたら、

一ノ倉まで戻っていた。

そして雨の止んだ一ノ倉は、

観光客が沢山いた。

一の倉沢

ダウンを着ている人もいる。

白いコートの彼女にキスをして、

一ノ倉をバックにスマホで写真を撮る外国人カップル。

ここは観光地だ。

この景色があるから、

国道291号は立派に整備され続けている。

 その道も明日から来年5月まで、

道路整備と積雪で通行禁止となる。

帰り道、車いすの女性を見かけた。

その車いすを押している男性が、

自然の中を歩くのが大好きなんです

と話している。

整備された道だからこそ、

歩ける人がいる。

いつまでもこの国道が続くといいな。

そしていつの日か、

藪で覆われた

新潟側も復活しないかな。

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